林野庁 平成30年度 木づかい・森林づくり推進事業

第4回 木育・森育楽会 in 石川 ~日々の木育と森育を考える~

日 時 2018年12月16日(日)10:00~17:10
会 場 石川県文教会館 4階会議室(石川県金沢市尾山町10-5)
主 催 木育・森育楽会実行委員会
共 催 石川県、石川県木材利用推進協議会
後 援 石川県森林組合連合会、石川県教育委員会、石川県社会福祉協議会保育部会、(一社)石川県私立幼稚園協会、北國新聞社 (順不同)
協 力 もりかみ協議会(カートカン提供)

開会式

共催者挨拶 五味 亮(石川県農林水産部森林管理課 課長)
門村 和永(石川県森林組合連合会 会長/石川県木材利用推進協議会 会長)
来賓挨拶 長野 麻子(林野庁木材利用課 課長)

浅田先生が「丸太ん成人」の扮装で入場…するも息苦しいとのことで、一瞬の登場でした。

主催者、共催者挨拶に続き、来賓挨拶まで、遠方からも多くの方が集まって下さったことへの感謝と、どんなことが始まるかという期待を込めて和やかに行われました。

 (当日プログラムより)

木育・森育実践者の皆様、木育・森育楽会へようこそお越しくださいました。

全国を見渡すと、木育・森育は大きく広がり、私たちの目指す方向へ確実に進んでいます。木を使う、森を生かすという取り組みは、幼児教育から学校教育まで確実に浸透しはじめています。しかしその一方で、木育と森育が日々の教育、日々の保育と連続していないという実践者の悩みも聞くようになりました。

そこで今回の木育・森育楽会では、「日々の木育と森育を考える」をテーマとして、実践を前提とした講演、分科会を設け、参加者の皆様とともに考えていきます。この集いが、皆様の日々の木育・森育へとつながることを祈念しております。

分科会

①いしかわ木育セミナー(主催:石川県木材利用推進協議会)

講 師 田口 浩継氏(熊本大学教育学部副学部長・教授)

平成16年に北海度で生まれた木育。その木育の意義とその教育的効果について、具体的な実践事例をもとにお話ししました。

木や森林と人との関係、木育に関連した原体験と人の成長、木を素材にしたものづくりの前に、幼児・児童・生徒にすると効果的な活動など、明日からの実践に直ぐに使える情報を提供。最後に、くまモンストラップ又はたまごのストラップづくりに挑戦していただきました。

②本気で木育をデザインする

木育の行方、木育の本質、可能性について

講 師 若杉 浩一(パワープレイス(株) シニアディレクター)
ゲスト 津高 守(株式会社JR大分シティ 代表取締役社長)
谷知 大輔(グリーンマム)

「本当の木育」

木育と森育。幼児教育か林業育成か?と見てしまいがちですが、私たちは、工業化、消費社会、今の経済の動きの中で、大量に物を作り、世界中の限られた資源を使い、豊かな生活を送ってきました。しかし、森の恵みは、川や海につながり、生態系を維持しながらも再生、循環する資源です。未来を考えるとき「大切で、そこにあるモノで生きていく」新しい未来を示唆しています。その可能性のひとつの「コイヤ協議会」立ち上げの経緯などについてもお話ししました。

③日々の木育と施設環境

保育現場の声をくみ上げながら作る“子どもたちのための木の家”

講 師 古川 泰司(アトリエフルカワ代表)
進行役 浅田 茂裕(埼玉大学 教授/木づかい子育てネットワーク 理事長)

木育の現場である保育園の設計をそこで働く職員さんの声から考えた「わらしべの里共同保育所」の事例を通して子どもたちのための場所をどうやって作ったら良いかを考えました。

参加者をグループに分け、それぞれの立場から課題解決に向けたグループセッションを行いました。

基調講演

「木育による人づくり、地域づくり」

どこから始める?何を伝える?明日から使える木育の技

講 師 田口 浩継(熊本大学教育学部副学部長・教授)

幼児・児童・生徒の成長に木育はどのような効果があるのか、また、大人や高齢者にとっての木育の役割・効果はどのようなものか、参加者と一緒に考える時間を持ちました。具体的には、幼児期からの木育に関連した原体験の意義、子供の成長とものづくりの関わり、大人や高齢者にとっての生きがいと木育について具体的な事例をもとにお話を進めました。また、今後の人と木や森との関わり方、地域づくりとしての木育の役割についても参加者の皆さんと意見交換をしました。

体験型ワークショップ

①はじめての学校木育

講 師 浅田 茂裕(埼玉大学 教授/木づかい子育てネットワーク 理事長)
ゲスト 酒井 慶太郎(酒井産業株式会社 代表取締役)

木育についての研修会、資格制度も各地で進み、子育て支援施設なども整備されてきましたが、日々の暮らしの中での木育の実践にはなかなか出会えません。「日々の木育」それは木育の大きな悩みであり、目標でもあります。今回は、保育園、幼稚園、小学校などで木育を実践したいという参加者とともに、楽しみながら1年365日の木育について考え、キットなどを使っての体験も行いました。

②日々の暮らしと木、森 ~夏至祭ワークショップ~

森を祝う「みんなの夏至祭」の取り組み紹介と、やってみよう!
装飾ワークショップ

講 師 赤池 円(私の森.jp編集長/グラム・デザイン 代表取締役)
ゲスト 藤木 卓(花人・アーティスト)
協 力 もりラバー 林業女子会@石川

1年で一番太陽の力が強く、緑が濃い季節の森から枝葉をいただいて、室内に「森」を出現させる、太陽と森を祝うお祭り、「みんなの夏至祭」について講師からのお話。その後、前日からゲストの藤木さんが緑の設えを行ったメイン会場で、夏至祭のための装飾を体験しました。

生きた緑で室内を立体的に装飾(アート)する面白さと、空間に緑が設えられていくのにつれて、自然と五感が開いていく心地よさを体感してもらう狙いでしたが、参加者はみな非常に楽しそうに装飾のノウハウを学んでいました。森を祝う「みんなの夏至祭」は森が主役のお祭りです。2019年には夏至祭仲間が石川からも広がることを確信したワークショップとなりました。

③いしかわスタイルの木育って〜里山ウッディくんをつくろう〜

第一部 トークセッション

コーディネーター 松元 浩(石川県農林総合研究センター 研究主幹)
講師 鈴木 修治(石川県庁農林水産部森林管理課)
亀井 順一郎(石川県木材利用推進協議会 事務局長)
濱田 亨(石川県木材青壮年会 会長)
進行 浅田 茂裕(埼玉大学 教授/木づかい子育てネットワーク 理事長)

石川県が昨年から取り組み始めた木育は森林環境税を活用しています。森とのつながり、小さい子供への教育の一環として始めた「いしかわスタイルの木育」。県内での保育園、幼稚園での出前講座を行うとともに、木育セミナーを実践したりなどしています。「里山ウッディ君」という木材利用促進のキャラクターを使っての木育普及方法についてお話し、今後の石川県での木育の在り方について、参加者を交えてのトークセッションとなりました。

第二部 いしかわの木で里山ウッディくんをつくろう

第二部では石川県の木でできたワークショップキットを使って、里山ウッディ君の製作体験をしました。

全体討論

「日々の木育・森育を考える」

出演 田口 浩継(熊本大学教育学部副学部長・教授)、
若杉 浩一(パワープレイス(株) シニアディレクター)、
古川 泰司(アトリエフルカワ代表)、
赤池 円(私の森.jp編集長/グラム・デザイン 代表取締役)、
コメンテーター 長野 麻子(林野庁木材利用課 課長)、
鈴木 修治(石川県庁農林水産部森林管理課)
進行 浅田 茂裕(埼玉大学 教授/木づかい子育てネットワーク 理事長)

今回の各分科会、ワークショップの講師である、赤池円氏、田口浩継氏、古川泰司氏、若杉浩一氏をパネラーとして、林野庁木材利用課長野麻子氏、石川県庁農林水産部森林管理課鈴木修治氏をコメンテーターとして迎え、フロアを交えて1時間にわたる熱いパネルディスカッションが展開されました。

各パネラーによる今回の分科会、ワークショップの報告の後、司会から木育の現状、木育の課題などについて議論されました。とりわけ「木育や木材利用の推進を妨げるもの」をテーマとした議論については、パネラーのみならず、コメンテーター、フロアとともに大きな盛り上がりをみせました。

フロアからの質疑では、予算や補助事業の在り方、石川県を含む自治体への要望など林業行政への期待、石川県における関連団体の情報共有、連携の機会形成など、積極的な意見、要望があり、予定調和に終わらない今回の議論、そして初めての北陸での本楽会は、地域の木育ネットワーク形成の契機になったのではないでしょうか。

閉会式

閉会挨拶 浅田 茂裕(埼玉大学 教授/木づかい子育てネットワーク 理事長)

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